国連の障害者の権利条約及び障害者差別解消法が、平成28年4月1日に施行されます。それを前に、障害を有する人々に対して、立法精神が規定する合理的配慮に即したテスト環境と学習環境の実現が求められています。
当研究機構は、テスト環境と学習環境のユニバーサルデザインの調査研究及び開発を推進しています。当研究機構のスタッフは、長年にわたり、大学入試センターのテストのユニバーサルデザインに関する研究室で、公平な試験環境を実現するため、試験問題の設計と実施方法の調査研究及び開発に携わってきたスタッフ等によって構成されています。

テスト環境のユニバーサルデザインの研究

定量的テストデータ収集実験に基づく定量的研究の結果、従来の点字問題と拡大文字問題に加えて、二つの新しい音声問題を準備しさえすれば、文字認知に障害を有するすべての受験者に配慮した公平な試験の実施が可能となることが見出されています。

新しい2種類の音声問題は、問題冊子に重ねて印刷しても文字や図の視認を妨げない特徴を持つドットパターンコードの活用によって可能となったものです。文書構造表音声問題は問題の文書構造だけを点字や拡大文字で表記した問題冊子をコードスキャナ付のオーディオプレイヤでタッチするとその文書構造に対応した音声が再生されます。一方、文字と音声のマルチモーダル問題は問題冊子を文書構造を即して区切りドットパターンコードが印刷されており、オーディオプレイヤでタッチすると当該箇所の文章が音声で再生されます。二つの音声問題は通常の紙と鉛筆のテストと同様の使い勝手です。<文献一覧>

学習環境のユニバーサルデザインの研究

テスト環境のユニバーサルデザインに関する研究成果から、障害を有する子どもたちが健常な子どもたちと一緒に机を並べ同じ教科書を開いて共に学べる学 習環境を実現するため、文字と音声の音声付教科書を開発しています。合理的配慮に即したこの教科書の普及を促進するため、作成方法と教育的効果を研究して います。また、音声付教科書の活用と教育効果が全国の各地の学校から寄せられています。<文献一覧>

 

共同研究・委託研究

調査研究事業として、合理的配慮に即した試験問題の設計と実施方法の改善に関する研究の協力をしています。また、音声付教科書の設計と活用方法に関する共同研究者を求めています。
テスト環境と学習環境のユニバーサルデザインに関する共同研究または委託研究をご希望の方はご連絡ください。

お問い合わせフォーム